目玉焼きが食べたい。

早速、お母さんにお願いしてみた。
快く承諾してくれた。

なぜ、急にそうなったのかというと、
こちらでは毎朝、ゆで卵と、粉末状の物をお湯に溶かして飲む物(豆か牛乳みたいな味のかを選ぶ)なのだ。
それが、こちらに来てからずっと、である。
ご存じの通り、ゆで卵はのどに詰まる食べ物だ。
別段、嫌いではなかった。
だが、こうもずっと、だと…

それでのどごしの良い「目玉焼き」が食べたくなったのである。

作ってくれた。
だがそれは、肝心の『目玉』が無かったのである。
もう、のどに詰まることは無かった。
中国の目玉焼きは、目玉焼きであって目玉焼きではなかった。

少し、もの悲しかった。


勝利広場。

王家村のバス停から406のバスに乗ること30分。
この「勝利広場」に到着する。
ここは、広大に、
そうまるで、蟻の巣の様に広がる、地下街である。
様々な物が売っている。
小さいお店がぎっしりと入っている。
そして質も“ピンからキリまで”だ。

よく自分が今どこにいるのか、解らなくなる。
解らなくなるたび、現在位置を把握するために、よく地上に私は出る。
そう、出口も所狭しとあるのだ。
そしてただでさえ横に、広大に広がっているのにも関わらず、更に地下3階までとくる。
始め行った時、もう帰れないのではないか、とさえ思ったほどだ。
だが、もう2、3度行ったので何となく雰囲気や、迷った時の対応になれた。

でも、以前行ったお店にはもう行けない。
どこにあったのか、解らないからだ。
だからここでは“また来る”という言葉が使えない。
その場で本当に欲しいのか、よく吟味するしかないのだ。
不便といえば不便かも知れないが、フラフラとしていて、本当にいい物と出会った時は運命を感じる。
今、この時に出会い、もうこの時にしか出会えない物。
とても愛しく感じてしまう。
「勝利広場」は、未知で満ちている。

帰る時はとても疲れてしまうが、また来ようと思わせる、不思議な所である。

好きな所の一つだ。







ながらるる